研究助成プログラム

助成研究テーマ

平成29年度タカタ財団研究助成

公益財団法人 タカタ財団の平成29年度研究助成について、下欄の8件の研究テーマを選考、決定しました。

(敬称略・申請順)

助成研究テーマ 助成研究代表者 助成区分
1
軽度認知症患者および認知症患者の運転技術についての研究
研究概要

 京大病院の物忘れ外来に通院する軽度認知症患者、認知症患者を研究にリクルートする。神経心理検査を施行し、認知機能と運転技術の相関について検討し、以下の点について解明する。
(1)一般的なスクリーニングで用いられるMMSE、 HDS-Rと運転技術との相関性
(2)認知機能の中のサブ解析(見当識、近時記憶、空間認知、言語など)と運転技術との相関性
(3)以上より、認知機能低下がどのテストに最も反映されるかを明らかにする
(4)通常使用されるMMSE、 HDS-Rが運転技術に反映されるか
(5)認知症のサブタイプ(アルツハイマー病、脳血管性、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など)により運転技術のどの部分が早期から障害されるか
を検討し、平成29年3月より施行される「高齢運転者に対する交通安全対策の規定」の際に、認知症専門医が運転技術について相談を受けた時に判断できるような参考資料を作成する。

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京都大学大学院
教授 木下 彩栄
公募(新規)
2
発達障害のある子どもたちへの合理的配慮を伴う教育プログラムの開発
研究概要

 発達障害のある子どもたち、とりわけADHD(注意欠陥多動性障害)の傾向のある子は、衝動性や注意欠陥の特性から事故に遭いやすいことが指摘されている。例えば、興味を示すものが視界に入った時、周囲の状況を確認せず急に飛び出す等の傾向であり、このような特性を有する子には特別な指導が求められる。しかしながら、子どもたちへの交通安全教育の実践で、これらの障害特性を考慮に入れた指導がなされているとは言い難いのが現状である。2016年4月に障害者差別解消法が施行され、公立学校において障害のある児童生徒に対して合理的配慮の提供が法的義務として義務づけられるようになったが、交通安全教育の領域では発達障害のある子どもたちへの合理的配慮を伴った指導は十分なされていない。発達障害の特性を念頭に置いた交通安全教育の研究および推進は喫緊の課題といえる。
 本研究は、このような問題意識から、発達障害のある子どもたちに求められる合理的配慮と特性を念頭に置いた指導方法を明らかにし、教育プログラムおよび教材開発を行うことを目的としている。

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國學院大學
教授 村上 佳司
3
ドライブレコーダによる実事故映像を用いた自転車・歩行者事故発生要因の解明
研究概要

 これまで長年にわたり交通事故分析が行われてきたが、未だ事故発生の要因は明確ではない。申請者らは愛知県産業振興課とタクシー協会と連携して、実事故のドライブレコーダの映像データセットを収集している。このデータベースによって、運転者、自転車、歩行者がどのような行動を経て事故に至ったかを知ることができる。本研究の目標を「実事故とヒヤリハットのドライブレコーダによる映像をもとに、実事故とヒヤリハットを隔てる変数・閾値とそれに至った人的要因を明確にする」ことにおく。
 平成29年度は愛知県ドライブレコーダ実事故データとヒヤリハットデータ(2カメラデータ、2016年データ)を用いて、各事故の車両前方映像および客室内映像について、フレームごとに自転車の軌跡、運転者の表情、互いの行動を分析し、映像による解析方法を確立し、事故発生を特徴づける物理変数を求める。

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名古屋大学大学院
教授 水野 幸治
4
自動運転システム制御車両が混在する交通流における運転者のストレス・精神的負担の計測
研究概要

 自動運転車両の混在比率が異なる交通流をドライビング・シミュレータ(以下、DS)上で再現した。この交通流を投与刺激とした実験により、運転者挙動および注視状況を計測するとともに、注意を払った対象をヒアリングにより抽出する。また同時に、心理尺度を用いて精神的負担を計測する。ここでストレスに関しても主観指標(例えばPositive and Negative Affect Schedule)が存在するが、時々刻々と変化する交通場面に対して、運転者が自律的に受けるストレスを連続計測できるものではなく、この計測が今後の課題となっている。そこで、心拍、呼吸、脳波、末梢血管表面温度などの生理指標を直接計測し、これらの解析によって、自動運車両が混在する交通流における運転者のストレスを明らかにする。. また、ストレスの解析結果と、運転者挙動、運転者が注意を払った対象および精神的負担との関連性を分析する。

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大阪大学大学院
准教授 飯田 克弘
5
ウエアラブルNIRSを用いた自動・手動運転時のドライバの脳活動データベースの構築と評価
研究概要

 OEG-16(スぺクトラテック:前頭葉16チャンネル計測用)およびウエアラブルNIRS(ダイナセンス:前頭葉2チャンネル計測用)を、実施メンバの菅沼らが保有している自動運転車両に実装し、自動運転、手動運転、自動・手動切り替え時の脳活動と運転行動、環境情報を、公道実験(石川県珠洲市)において計測できるシステムを構築した。
 自動運転車両の運転資格を有する2名(菅沼直樹,米陀佳祐)について実験を実施した結果、ドライバが注意を払って運転している場合(手動運転時)には前頭葉の脳活動が活発であるが、自動運転を行っている場合は、手動で注意して運転を行っている状況と比較して、前頭葉の脳活動が低下することがわかった。
 新型ウエアラブルNIRSを使用して、一般道路において10名程度の実験参加者の手動運転時の脳活動を計測し、特徴を分析してデータベースとして整備する。自動運転車両については、菅沼直樹、米陀佳祐以外の運転者を選定できないため、この2名について自動運転時、手動運転時についての計測を複数回実施する。また、ドライビングシミュレータを用いて、自動運転を模擬した環境における脳活動を前記の実験参加者10名程度に対して実施し、特徴を分析する。

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日本大学
教授 綱島 均
公募(継続)
6
救急救命センターと連携する交通事故自動通報システムによる交通弱者の被害軽減
研究概要

・事故にあったスマートフォン所持者の位置を誤差5m以内で通報するアプリケーションを開発した。さらに自動操縦ドローンが、事故の状況を上空から動画撮影し、サーバ上で確認できるシステムを開発し佐賀大学救急救命センター内で、医師が事故状況を確認するシステムを構築予定である。
 今年度は、事故検知/通報機能の向上と、ドローンの設置と病院/消防との連携に取り組む。
・事故検知/通報機能の向上:事故検知性能の向上のため、人工知能(機械学習)によるユーザの状態判別(室内/屋外歩行/自転車移動/自動車移動)を含む事故判別アルゴリズムを開発する。現在は、走ったり階段を駆け下りたりすると、誤って事故と認識する場合があるが、誤認識の発生回数を、1ヶ月に1回以下にすることを目標とする。
・ドローンの設置と病院/消防との連携:最初に佐賀県内の消防署と協力し、累計4週間の実証実験によりドローン本体のメンテナンスなどを含む運用上の問題を洗い出し、現場で使えるシステムを目指す。

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佐賀大学大学院
准教授 中山 功一
7
高齢者の交通事故傷害予測モデル開発と歩行中および自転車乗車中の傷害予測
研究概要

 これまでに歩行中の転倒骨折評価のための高齢歩行者モデルを構築してきた。このモデルは日本人高齢男性および高齢女性モデル(剛体)に大腿部有限要素モデルを組み込んだ剛体と有限要素の複合モデルであり、人体有限要素モデルに比べて、
1) モデルの姿勢変更が容易であること
2) 歩行者事故や自転車事故のように大きな人体運動を伴う時の挙動再現性が高いこと
3) 有限要素モデルを組み込んだ大腿骨頸部については詳細な応力解析に基づく骨折予測が可能なことが挙げられる。
 この複合モデルを高齢歩行者および高齢自転車乗員の事故状況の予測モデルとして適用することで、効率的に種々の衝突条件における傷害予測を行うことができ、かつ高齢者に特有で、寝たきりの原因のひとつである大腿骨頸部骨折のリスク評価も可能とする。さらに、高齢者のQOLを著しく低下させる脊椎圧迫骨折の評価を可能とする脊柱有限要素モデルの組込みにより、高齢者を対象とした剛体と有限要素の複合モデルの利点を高め、多様な事故解析に素早く対応可能な傷害予測システムを確立する。
 この新しい高齢者傷害予測システムにより、従来の交通安全法規や自動車設計において具体的に考慮されていない高齢者傷害対策に必要な傷害の閾値と必要な対策を具体的に提案できる。

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芝浦工業大学
教授 山本 創太
8
住宅地の土地利用変化を考慮した高齢者と子育て世代の親和性を高める持続的安全交通施策に関する研究
研究概要

 前年度には、本研究で対象となる、高齢者の自転車・自動車運転と、子供乗せ自転車の運転挙動について分析し、危険な状況を把握、その上でケーススタディとなる世田谷区玉川田園調布2丁目にてローカルルールを設定することを通して関係主体の意識の差異を把握した。
 本年度は開園した保育園利用者も含めて調査を実施し、交通安全教育プログラムを完成させる。また、前年度までに得られた各交通手段の推奨ルートについて、近隣住民および保育園利用者による受容可能性を調査し、安全教育プログラムの内容と進行手法を検討する。さらに、安全教育プログラムを近隣住民と保育園利用者の交流の場と捉え、近隣住民に安全教育の講師や対象地域のパトロールをさせることの効果(特に、近隣住民と保育園利用者の相互に対する配慮に関する行動変容)を検証する。

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東京工業大学
助教 鈴木 美緒

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