研究助成プログラム

助成研究者インタビュー

高齢者講習の受講対象となった75才以上の方々の不安は極めて大きいものがあります。

タカタ財団・2018年度研究助成の対象テーマ
『高齢者講習を分析・活用する認知症の予防と峻別』
この研究の概容について、尾方義人氏に語っていただきました。

尾方義人

ー交通問題として『高齢者講習を分析・活用する認知症の予防と峻別』研究を行うに至った経緯についてご説明ください。

公共の交通機関が極めて少ない地方・地域では、移動手段の確保は重要課題の一つとなっています。一方、高齢化率も三大都市圏の高齢化率に比べ高くなっており、高齢者の自動車による外出頻度が高くなっています。そうした中、高齢者の交通事故件数は平成以降の約20年間で5.5倍へと増えており、これは、非高齢者の交通事故件数がほぼ横ばいであるのに比べて際立っており、高齢者の運転免許保有人口の変化(平成以降の約20年間で4.4倍)と比べてみても多くなっています。

高齢者の運転による事故が大きな社会問題になっている中、高齢者の事故抑制は喫緊の課題であります。その解決方法の方向性には、できるだけ免許返納を促すという考え方と、認知症予防等を行い、できるだけ安全に運転してもらう期間を長くしていくという考え方があります。

一方で高齢者講習は法改正を受け、高度な運営も必要となり教習所側の様々な負担も増えているという実態があります。高齢ドライバー用に階段の手すりを新たに付けたり、転倒に備えてフロアを絨毯に改修しなければならないとか、高齢者講習の指導員の資格を得るための研修を受けさせなければいけませんが、その宿泊費と交通費も教習所側が負担しています。

また、対象となった75才以上の方々の受講への不安は極めて大きいものがあります。
高齢者の不安は、受講への不安と免許返納に対する不安であります。予備調査においてもこの不安は顕著であり、この不安の大きさが、高齢者の更なる不安を生み出したり、それらをフォローするために教習所側の負担も決して小さくはありません。
私は、高齢者が安全に運転できる期間を少しでも長くするために、高齢者講習自体のさらなる活用方法や改善展開方法を研究しています。

ー本研究についての進捗状況をお教え下さい。 
 
高齢者教習の課題を明確にするために銚子太陽自動車教習所でのヒアリング、高齢者教習を体験し、実際の評価方法や評価ポイントの聴取・確認等を行っています。

高齢者講習の認知症検査は公的な公共機関のなかでも唯一といってよいものでありますが、現状では公安委員会のデータをすべて手に入れることは物理的にも法的にも困難であることがわかりました。

公共の交通機関が極めて少ない地方・地域では、代替交通手段の問題のために先ずはアンケート設計の充実が重要課題であることがわかり、研究方針を以下のように決定しました。

2018年度末までに:

・高齢者教習の課題を明確にする。
マニュアルに基づいているとは言え、教習所地域の特性から、それぞれに対応した運営が行われているのが実情である。それを具体的に調査し、行動分析方法により把握する。

・各高齢者教習時のアンケート分析を可能にする
高齢者教習時、公安委員会指定のアンケートや各自動車学校によるアンケート調査が行われているが、その集計や分析は行われていない。その情報を有効に活用するための交渉や分析効果を示していく。

・認知症予防トレーニングの実態を調査する。
自動車運転と認知症予防の連携事例を調査分析する。

・プログラムの開発
このような分析を利用して、新たな認知症予防あるいは認知症計測プログラムを作り出す。

ー研究の成果は、社会でどのように役立てられ、活用されていくことが期待されますか。或いは、今後どのような形で社会に寄与していくべきとお考えでしょうか?イメージをお聞かせください。
 
本研究の新規性として、高齢者の免許返納を促すのではなく運転人口=経済人口を地域に合ったものにしていく為できるだけ長い期間安全に運転できる方法を開発していきます。

独自性としては、大学の分析方法の実績、企業の認知症予防の実績、自動車学校とのこれまでのネットワークと連携実績を利用しオリジナルのアプローチと方法で分析・開発していきます。

そして目標を達成することで、高齢者事故の軽減に役立てられ、免許を返納させず、安全な運転を楽しく行っていくという新しい環境あるいは地域性が生まれます。

運転人口の減少防止にもなり、免許取得人口が減少する中、安全な高齢者の運転を促す仕組みを作ることで、地元経済への影響はもとより、地元コミュニティの新たな形成に繋がり、認知症予防活動から加害者になりうる高齢者の可能性を減らすことが期待できます。

2018年度タカタ財団助成研究 

『高齢者講習を分析・活用する認知症の予防と峻別』概要

研究代表者
九州大学 芸術工学研究院 准教授
尾方義人

●高齢者教習の課題を明確にする
マニュアルに基づいているとは言え、教習所や地域の特性から、それぞれに対応した運営が行われているのが実情である。それを具体的に調査し、行動分析方法により把握する。

●各高齢者教習時のアンケートの分析を可能にする
高齢者教習時、公安委員会指定のアンケートや各自動車教習所のアンケートが行われているが、その集計や分析は行われていない。その情報を有効に活用するための交渉や分析効果を示していく。

●認知症予防トレーニングの実態を調査する
自動車運転と認知症予防の連携事例(株サムライト)を調査分析する。

 

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