研究助成プログラム

助成研究者インタビュー

代替交通手段の少ない地方では、自動車運転が生活の一部になっている。

タカタ財団・2018年度研究助成の対象テーマ
『高齢者の自動車運転に関連する認知機能』
この研究の概容について、目黒謙一氏に語っていただきました。

目黒先生

ー交通問題として『高齢者の自動車運転に関連する認知機能』研究を行うに至った経緯についてご説明ください。

脳科学に基づく高齢者の認知症対策が教室の柱です。生活の評価には、臨床的認知症尺度(CDR)を評価方法として用いますが、地域社会生活の項目において「移動能力」は重要です。

都心部と違い地方では、自動車運転が生活の一部になっています。しかし、高齢運転者による交通事故が増加する中、免許更新時の「認知機能検査」(以後、「公安検査」)が義務付けられましたが、検査内容については議論の余地があります。

我々は、「警察庁検査」で「第1分類」(認知症の疑い)に分類されない場合でも、家族から見て危険な状況が認められる事例を報告しました(日本神経精神医学会、2017年10月、東京)。事故ゼロを目指すために、運転に関する認知機能の評価が必要です。

ー運転行動と生活の実態調査について進捗状況をお教え下さい。

本人と家族に聞き取り調査を施行しています。項目は、運転の目的、必要性、ヒヤリの有無、その他です。

ーこれまで同様の研究は存在しましたか。また、この研究の社会的意義の大きさについてお教えください。

生活実態と認知機能検査を統合的に行う研究は、あまり見かけません。
生活の必要性を把握することで、根拠に基づいて「地域限定免許」「時間限定免許」などのパブリックコメントを出せますし、リスク高齢運転者のスクリーニングを行い、個別に免許返納等の対策を練ることが出来ることは、社会的意義が大きいと考えられます。

2018年度タカタ財団助成研究 

『高齢者の自動車運転に関連する認知機能』概要

研究代表者
東北大学CYRIC高齢者高次脳医学研究部門 教授
目黒謙一

高齢運転者による交通事故が増加する中、免許更新時の「認知機能検査」(以後、「公安検査」)が義務付けられたが、検査内容については議論の余地がある。
 
申請者らは、「公安検査」で「第1分類」(認知症の疑い)に分類されない場合でも、家族から見て危険な状況が認められる事例を報告した(日本神経精神医学会、2017年10月、東京)。しかし、代替交通手段の少ない地方では、生活ために運転する必要性が高い。
 
人間は、脳により身体を使いこなして歩行し、自動車はその「身体の延長」でもある。
運転も歩行(=「身体の運転」)も、脳の認知機能をフル稼働させる必要がある。
 
生活上の必要性の把握、「公安検査」の妥当性の検討、独自に開発した課題(記憶・言語・視空間機能検査、ならびに運転シミュレーター)の実施は、全て過去に報告がなく新規性・独自性に優れている。

  

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