交通安全コラム

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地上最高速の争い(4)―決して満足しない―

前回は、二人の地上最高速記録挑戦者のシーソーゲームの経過を紹介した。
今回は、決着を付けようと、ベルギー人が開発した速度記録車とその挑戦を紹介する。

◆不屈の精神力
時速92.7キロで敗れたジェナツィーは100キロの壁を破るまったく新しいクルマを設計する決心をしたが、その時点では技術的に未解決な電気の問題があった。しかし、彼は解決策がないことを受け入れなかった。その不屈の精神力が彼に解決策を与えた。そこで彼は記録を取り戻せるモーターを製作し、クルマは3月28日に完成した。

◆決して満足しない
このモーターは、最高で毎分900回転が可能で、その際、後輪を毎分600回転させる減速歯車で後車軸と結合された。クルマは、“ジャメ コンタン(決して満足しない)”号と名付けられた(図1)。彼は、自信を取り戻し、4月1日に記録に挑戦することを発表し、時速100キロの壁は新しいクルマで破れると豪語した。

ジェナツィーのジャメ コンタン号

◆不運な前日の雨
 当日は、ヨーロッパの主要なモータースポーツ関係者が大挙して集まった。ジェナツィーはコースを下見して、前日の雨でできた穴を避けるため計時地点を200メートル移動するように要求した。しかし、2人の計時員が新しい地点に移動を完了する前に、何故かスタートすることになってしまった。計時員はあわててストップウォッチを押した。

◆エイプリルフール
ジェナツィーは自信を持って記録を破ったと主張したが、フランス自動車クラブは記録を公認しなかった。消耗した電池を現地で充電する方法はなかったので、彼の凱旋のシナリオは、エイプリルフールに終わった。

◆再度の挑戦
ベルギーに戻ったジェナツィーは、もはや自信満々ではなかったが、もう一度やってみることにした。彼の名声、彼のビジネス、レーシングドライバーとしての将来が賭かっている。曇った土曜日の4月29日の午後、彼は再びコースに戻った。多くの人が集まっていた。ベルギーの赤鬼は、やり直しはできないことを3人の計時員に念を押した。

◆魚雷のような新車
再度の挑戦を受けて立つ伯爵は、クルマは用意せず、道端の土手から成り行きを見守っていた。ジェナツィーは、赤い車輪を付けた青灰色の魚雷のような “決して満足しない”号に上半身を外に出して直立して座った(図2)。寒い風が吹いたが、追い風なので不満はなかった。彼の緊張が観衆に伝わり、その場がシーンとなった。

時速100キロに挑戦するジャメ コンタン号のジェナツィー

今回は、敗れたジェナツィーが開発した革新的な記録車とその不運な挑戦を紹介した。
次回は、ジェナツィーの再度の挑戦の結果を報告する。

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