交通安全コラム

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空気入りタイヤの歴史―ミシェラン兄弟の慧眼―

前回は、空気入りタイヤでレースに参加したミシェラン兄弟の努力と予言を紹介した。
今回は、空気入りタイヤの起源とミシェラン兄弟の関わりを紹介する。

◆空気入りタイヤの歴史
中実(ソリッド)のゴムタイヤより乗り心地がよく、すべりにくい空気入りタイヤはミシュランの発明ではない。この特許は、1845年にスコットランドの技術者ロバート・トムソンが英国で取得している(図1)。しかし、この発明は日の目を見ずに消えてしまった。

トムソンが発明した空気入りタイヤの構造

◆息子の三輪車のために
40年後、スコットランドの獣医ジョン・ダンロップが、デコボコ道で転びやすい息子の三輪車のために、その車輪に空気を入れたゴム袋を巻きつけてやった(図2)。彼は、トムソンの特許を知らないで、病気ではれ上がった牛の腸からヒントを得て空気入りタイヤを思いついた、と伝えられている。

ダンロップが試作した空気入りタイヤ

◆自転車で実用化
ダンロップの出願した特許はあとで無効とされたが、彼のアイデアは、この時代になっ
て普及していた自転車で実用化された。
ここで、ガソリンエンジンに劣らない大発明である空気入りタイヤの自動車での普及に
貢献したミシュラン兄弟の足跡をたどってみよう。

◆建築家と画家
建築を専攻したアンドレ・ミシェランは、パリで鉄骨の工場を持っていたが、祖父の
死後、経営が破綻する農具とゴムを扱っている会社を救うため、ゴムの知識がないにもかかわらず、33歳でその事業を引き継ぐことを決心した。6歳年下の弟エドワールも、美術を学んで画家の道に進むところであったが、兄の懇願を受け入れて、会社の再建に協力することを決心した。

◆自転車のパンク修理
たまたま工場に持ち込まれたパンクした自転車のタイヤが、新しいビジネスを模索中だった彼らの関心を呼び起こした。それは、リムに接着されたチューブを保護膜で覆ったタイヤだった。パンクすると、サイクリストは、幾つかの道具を使って複雑な手順でパンク直しをしなければならず、チューブをリムから剝がすのに3時間、ふたたび接着して乾燥に一晩かかる代物だった。

◆将来性を見抜く
弟が修理を手伝い、試乗してみて驚いた。乗り心地がよく、速く走れて操縦も容易だった。そこで彼は、空気入りタイヤの将来性を見抜き、パンク修理さえ簡単にできれば、必ず普及するに違いないと直感した。

今回は、空気入りタイヤの将来性を見抜いたミシェラン兄弟の経歴とエピソードを紹介した。
次回は、兄弟によるタイヤの改良と優勝車を開発したプジョー社の業績を紹介する。

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