交通安全コラム

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自動車レースの発展(3)―ルバソールとパナール―

前回は、トップでゴールしたが、二人乗り故に2位にされたルバソールの奮闘を報告した。
今回は、ルバソールと共同経営者のパナールの業績を紹介する。

◆エミユ・ルバソールとルネ・パナール
パリ-ボルドー レースのヒーローであるエミユ・ルバソールは、ルネ・パナールと木工機械工場を共同経営していた。彼らは、1889年のパリ万博に出品されたダイムラーの鋼製車輪車に触発され、1890年にダイムラーのエンジンを使って初めて自動車を製作し、車体の改良を続けた。

◆事故死を乗り越え会社は繁栄
ルバソールは、1897年パリ-マルセーユのレース中の事故で命を失うが、企業は、第一次大戦前では規模と利益で最大の自動車会社の一つにまで成長した。その後、独創的なデザインと構造のパナール車を作り続けたが、1965年にシトロエン社に吸収された。

◆技術史上高い評価
このレースで圧倒的な高性能と信頼性を示しながら、2座席であったために優勝を逃したパナール・ルバソール車の設計は、現在の自動車の基本的形態を決めたものとして、技術史上で高い評価が与えられている。ガソリンエンジンを前に置いたのはこのクルマが最初である。

◆システム パナール
その結果、前後輪の重量バランスが改善され、ハンドルの効きがよくなった。ラジエータを前に置いて冷却効果を高めた。エンジンから、クラッチを経由して変速装置に回転を伝え、それからチエンで後輪を駆動する(図1)。これは現在の自動車とは異なるが、それまで様々に模索されていた自動車の各機能要素の配置で、最も合理的ものを創出した。この形式は「システム パナール」と呼ばれ特許となった。

図1 現在システム パナールと呼ばれる

◆パナールロッド
パナールの名前は、現在でも技術用語に存続している。左右の車輪を車軸で一体結合する「車軸式」サスペンションでは、板バネで車軸を支える場合には、バネは横方向には剛性が高いので、車軸方向に動きにくい。しかし、剛性が低いコイルバネで支える場合は、横方向の動きを規制する工夫が必要になり、長い棒(ロッド)を車軸に並行に置き、一端を車軸に、他端を車体に取り付ける方法が、シンプルな構造で高い剛性が得られるので広く使われている。これをはじめて採用したのがパナール車だったので、現在でも、このロッドを「パナールロッド」と呼んでいる(図2)。

走行性能を改善するためマニアが後付けしたパナールロッド

今回は、レースのヒーローだったルバソールと共同経営者パナールの業績を紹介した。
次回は、空気入りタイヤでレースに参加したミシェラン兄弟の苦闘を紹介する。

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