交通安全コラム

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道路交通情報工学(16)―スイス、ドイツの重量貨物車両課金―

前回は、世界のETCについて、最も早いイタリアと、シンガポールとロンドンを紹介した。
今回は、全道路に課金したスイスと通過交通に悩むドイツのETCを紹介する。

◆スイスは全道路課金
ヨーロッパの中央に位置するスイスは、南北と東西の交通流が増加したため、環境保全と鉄道へのモーダルシフトを目的として、2001年に3.5トン以上の重量貨物車両の走行距離に対して、世界で初めて高速道路だけではなく国内すべての道路を対象とする課金制度を導入した。

◆タコグラフとGPS
国内の車両には無料の車載器の搭載を義務づけ、車両ナンバーと総重量を登録して車両のタコグラフと接続することで走行距離を把握する(図1)。国境にはゲートがあり、電波によるパッシブ方式で国外での走行距離が除外される。車両は路上のモニターで確認され、さらに、走行距離はGPSによってもモニターされる。

スイスの重量貨物車対象ETCの車載器
スイスの重量貨物車対象ETCの車載器

◆国外車はIDカード作成
料金は、3段階の排出ガスレベルの係数に重量と距離を乗じて算定され、無届車は車両ナンバーを特定し罰金が科せられる。車載器の無い国外の車両は、入国の際、車両データーに基づきIDカードを作成し、自動登録機でメーターの走行距離、支払い方法など申告する。発行された二枚のカードのうち、一枚は、出国時に走行メーター記録を提出する精算用で、残りは控えとなる。

◆一般道への迂回封じ
ドイツでは、便利なアウトバーンを通過するだけの他国車両が多いため、道路への負担が大きい総重量12トン以上の貨物車のアウトバーン走行に対して、2005年から道路維持費負担のための課金が行われるようになった。その結果、迂回車両でアウトバーンと平行する一般道の交通量が増加して渋滞を招くようになったため、2007年には一般道も課金対象に含めた。

◆GPSとガントリー
課金方法は、特別なゲートを設けず、GPSを備えた車載器から携帯電話回路を通して、車軸数、排出ガスレベル、走行距離をセンターに送り、料金が計算される。道路を跨いで設置されている300か所のガントリーで3Dスキャナーにより車両を確認し、無線で車載器の有無を確認し、赤外線カメラが検出する車両ナンバーから登録内容との照合が行われる(図2)。車載器がなく、事前登録もない場合は500キロ走行相当金額の罰金が科せられる。

ドイツETCのガントリー
ドイツETCのガントリー

今回は、重量貨物車に対して、一般道も含めた課金を行ったスイスとドイツのETCを紹介した。
次回は、最も進んでいると言われるカナダと、地域毎に発展して統一されていない合衆国のETCの状況を見ていく。

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