交通安全コラム

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道路交通情報工学(15)―イタリア、シンガポール、ロンドンのETC―

前回は、ETC(自動料金支払いシステム)の現状、必要機能、効果などを概観した。
今回は、各論として、世界のETCについて、代表的なシステムを紹介する。

◆始まりはイタリア
イタリアでは、1990年のサッカーのワールドカップを迎えて、1989年から高速道路で“Telepass”と呼ばれるETCサービスが開始されている。高速道路は、国が管理する無料区間と民間が管理する有料区間があり、有料は約86%である。電源を持たないシンプルな車載器が送られた電波に応答するパッシブシステムであるが、普及率は約23%と少ない(図1)。

ETCの導入は早いが、車載器の普及が少ないためか、現金扱いのゲートが多い

◆混雑緩和ではシンガポール
シンガポールでは、早くも1975年に商業中心地への乗り入れにステッカーによる課金制度が開始されていた。しかし、監視コストの低減と、渋滞に応じた柔軟な課金額の設定を可能とすべく、1998年に“EPR:Electronic Road Pricing”と称するETCが導入され、対象は道路にも拡大された。車載器はパッシブシステムで、道路をまたいで造られたガントリーによる認識方式のため減速の必要はない。

◆大きな通行料設定幅
EPRの課金対象時間帯の通行料は30分毎に見直され、0.5~7シンガポールドルと大きく変動する。料金が変わる前後5分間は、平均値で課金される。幹線道路と高速道路の料金は、それぞれ時速20~30キロと時速45~65キロに保てるよう設定され、交通量調査に基づき3カ月ごとに改訂されている。

◆ロンドンの混雑緩和
ロンドンでは2003年から、市中心部の混雑緩和を目的に、“London Congestion Charge”と称するETCが導入されている(図2)。車載器と通信する方式ではなく、対象地域の200台近いテレビカメラが、車両のナンバープレートを読み取りデータベースと照合する。月曜~金曜の7~18時に、二輪車、タクシー、バス、緊急車両を除く車両に対し、一律11.50ポンドが課金され、当日のエリアへの出入りが自由になる。

ETCの導入は早いが、車載器の普及が少ないためか、現金扱いのゲートが多い

◆低公害車優遇
また、排出ガス規制基準適合車両、電気自動車、プラグイ ンハイブリッド自動車、定員9人以上の車両、小型自動3輪車、道路復旧車両は、事前に10ポンドを支払い申告登録することで、1年間の通行が可能となる。料金は当日払いで、2011年からは自動引き落としも可能になったが、支払いの遅延には、14日以内は65ポンド、以降は130ポンドと、高額な罰金が科せられる。
ロンドンのようなロードプライシングシステムは、2007年にスエーデンのストックホルム市内に、2013年に同ヨーテボリ市内に導入されている。

今回は、世界のETCについて、最も早いイタリアと、シンガポールとロンドンを紹介した。
次回は、通過交通に悩むドイツのアウトバーンのETCなどを紹介する。

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