交通安全コラム

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道路交通情報工学(14)―ETC概観―

前回は、自動車の安全性をさらに高めようとする道路交通情報技術開発、AHSを紹介した。今回は、お馴染みのETC(自動料金支払いシステム)の現状、必要機能、効果を解説する。

◆ETCの現状
ETCは、クルマへの課金システムの効率向上を狙いとして開発されたもので、1989年にはイタリアで本格的な運用が始まっている。現在、50か国以上に普及しているが、それらは、課金の目的によりシステムが異なり、同じ目的でもさまざまなシステムが存在する。まず、ETCのシステムを規定する課金の目的から話を始めたい。

◆課金の目的
目的の第一は、道路の建設や維持管理のための費用の回収で、これは有料道路で一般的に行われている。第二は需要管理である。これは交通量の増加を抑制し、公共交通の利用を促す手段である。ロンドンで行われている市内中心部へ乗り入れるクルマへの課金制度がこの例である。第三は混雑緩和である。この目的では、課金額は道路の混雑程度に応じて変動する。次に、ETCが成立するために必要な機能を確認する。

◆車両確認・種別認識
機能の第一は車両の確認である。初期にはバーコードを読み取る方法が行われたが、現在では電波による通信が一般的で、ビデオカメラによるナンバープレートの読み取りも使われる(図1)。第二は車両種別の認識である。事前登録のID、踏板で車軸数やダブルタイヤを確認する方法が一般的であるが、レーザーで車両外形を検出する手法もある。特殊な例では、ゲートを使わず、走行中任意の位置でGPSによる位置データを車両IDと共に送信する方法もある。

ビデオカメラによる車両認識例

◆課金徴収・違反行為防止
第三は課金の徴収である。これはプリペイドカード、口座からの自動引き落とし、請求書による納付、などが行われている。第四は違反行為防止である。これには、警備員のパトロール、開閉バーの設置、自動ナンバー認識、などの手段が講じられている。しかし、パトロールには多くの人数が必要であり、バーは通過速度の低下で渋滞の原因となる弱点がある。

◆ETCの効果
人による料金徴収では、処理能力は一時間当たり350台、コイン投げ入れ式では500台である。ETCでは1200台の処理が可能となり、さらに、ゲートを使わず減速の必要のないシステムでは1800台に対応可能との報告がある(図2)。ETCの運用は交通流を改善し、旅行時間の短縮に効果的で、事故防止、燃費改善、環境汚染防止に貢献している。

ゲートを使わないETCシステム例

今回は、ETCの一般論として、現状、課金の目的、必要機能、効果を解説した。
次回は、ETCの海外事情と代表例を紹介する。

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