交通安全コラム

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道路交通情報工学(12)―先進安全自動車(ASV)―

前回は、フローティングカー・システムの東日本大震災での目覚ましい働きを紹介した。
今回は、最新のテクノロジーで自動車の安全性を高めようとする技術開発を紹介する。

◆先進安全自動車プロジェクト
路車間通信の分野で現在の発展につながるVICSの開発が始まった1991年に、運輸省(当時)が、最新のテクノロジーを使って自動車の安全性を高める研究開発を提唱し、5か年計画で産・官・学の連携で作業が始められた。これが先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle:ASV)プロジェクトである。

◆実験安全車プロジェクト
このASVプロジェクトには、お手本になる成功を収めた先例があった。それは、5万人を超える交通事故死者の減少を迫られた米国運輸省が主唱して、1970年代に始まった世界規模の自動車の安全性向上のための研究開発活動だった。それは実験安全車(Experimental Safety Vehicle:ESV)プロジェクトと呼ばれた。

◆ESVは衝突安全
当時、制御・情報・通信などの技術が未熟だったため、このESVプロジェクトでは、予防安全対策に比較して、衝突安全対策の研究開発が多数を占めていた。しかし、その成果が、車体構造の改善、シートベルトの性能向上、エアバッグの実用化など多くの実績を挙げ、自動車の衝突時の安全性を現在の高いレベルに引き上げることに貢献した。

◆ASVは予防安全
その後20年間に目覚ましく進歩した制御・情報・通信の技術を駆使して自動車の安全性をどこまで高められるかを研究し実用化に結び付けよう、とするのがASVプロジェクトである。したがって、予防安全対策が主体となり、「ドライバー支援」を原則とする基本理念の基に研究開発が進められた(図1、2)。

図1 ASVのコンセプト
図1 ASVのコンセプト
出典:
http//www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/resourse/data/asv1pamphlet.pdf:
図2 ASVの研究開発テーマ
図2 ASVの研究開発テーマ
出典:
http//www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/resourse/data/asv1pamphlet.pdf:

◆情報と制御
予防安全には、警報などの情報による事故予防と、制御による事故防止・衝突回避・被害軽減の二つの分野がある。ASVプロジェクトからは、後者の分野からアダプティブ・クルーズ・コントロール、レーンキープアシスト、衝突軽減ブレーキなどが実用化されている。

◆自律型と通信型
事故発生の可能性を予知して、それをドライバーへ警報するための情報の取得には、自律検知の方式と通信利用の方式がある。通信利用方式には路側情報利用型と情報交換型があるが、ASVプロジェクトでは、当初は、自律検知方式で研究がスタートした。ASVプロジェクトは、5年間を一期として、その後も継続され、現在第5期が続けられている。

今回は、運輸省が提唱して開始された安全性向上を目指すASVプロジェクトを紹介した。
次回は、ASVにも通信利用方式を導入し、安全性をさらに高めようとする提案を紹介する。

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