交通安全コラム

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道路交通情報工学(11)―東日本大震災での活躍―

前回は、カーナビの、フローティングカー交通情報システムへの発展とその効果を紹介した。
今回は、フローティングカー・システムの東日本大震災などでの目覚ましい働きを紹介する。

◆双方向通信型カーナビの長所
双方向通信型カーナビによるフローティングカー交通情報システムでは、道路のセンサーや通信機器などのインフラに依存せずに、走行中のクルマから交通情報収集が可能になる。そのため、VICSでカバーされていない道路はもとより、インフラが使用不能になった道路の交通状況も知ることができる。この長所が東日本大震災で発揮され、貴重な役割を演じた。

◆翌日走行実績データー公開
2011年3月11日の大震災の際、フローティングカー交通情報システムの先駆けで実績のあったホンダ・インターナビ・クラブは、被災地域の住民の移動や被災地域への早急な救援のための通行可能道路を明らかにするため、早くも、翌日の12日の10時30分に会員の通行実績データーを公開した。

◆グッドデザイン大賞
さらに、広く一般を対象として、Google、Yahoo! JAPANと協力し、“Google 自動車通行実績情報マップ”や、“Yahoo!ロコ‐地図”の“道路通行確認マップ”に通行実績情報、渋滞実績情報を公開した。このサービスは大きな反響を呼び、その後、他の自動車メーカーやカーナビ関連企業も加わった情報提供へと発展した。この通行実績情報マップは“2011年度グッドデザイン大賞”を受賞した(図1)。

東日本大震災での通行実績情報マップ
図1 東日本大震災での通行実績情報マップ
出典:http://www.honda.co.jp/news/2011/4111109.html

◆急ブレーキ地点抽出
さらに、このフローティングカー情報は交通事故の減少にも効果を発揮している。クルマの走行情報から急ブレーキの頻度も知ることができるので、多発箇所を抽出し、その地点の道路状況を確認して、急ブレーキの発生原因を除去することで、事故の発生を予防することが可能となる。埼玉県内の急ブレーキ多発27ヵ所のうち、対策を実施した16ヵ所で対策後1ヵ月の急ブレーキ回数が約70%減少したという実績が報告されている。

◆交通事故削減に貢献
横断歩道がカーブの先にあったり、街路樹が車道の視界を妨げていたり、カーブミラーの設置角度が不適当で見通しが悪いなどの隠れた危険箇所を、すべて道路について人による調査で見つけ出すことは事実上不可能である(図2)。クルマの走行情報は、人手と費用を掛けずにそれを可能にした。

急ブレーキ多発箇所の一例
図2 急ブレーキ多発箇所の一例
出典:http://www.honda.co.jp/news/2009/c090331a.html

今回は、フローティングカー・システムの特長とそれが発揮された事例を紹介した。
次回は、これまで触れなかった、安全性向上を目指した車両技術開発と道路交通情報技術との連携と、その展開を紹介する。

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