交通安全コラム

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道路交通情報工学(7)―カーナビゲーション機器の進化―

前回は、我が国の路車間通信の実用化を促進した世界初のカーナビゲーション装置(以下カーナビ)を紹介した。
今回は、その後のカーナビの進化をたどっていく。

◆デジタル地図の採用
1981年に発売された世界初のカーナビでは、地図は透明フィルムに印刷されており、地図の境界で続きの地図との人手による差し替えが必要だった。1990年に、この機器では、CD-ROMに記録されたデジタル化された地図データで自動切り替えが行われるようになり、差し替えの手間が解消した。

◆累積誤差
方位の計測に高精度のセンサーを採用しても、距離の測定は車輪回転数に頼っているため、タイヤ空気圧の変化や、路面とのスリップなどの影響で、長距離の走行では累積誤差が無視できなくなる。その結果、走行軌跡の表示が地図の道路から外れてしまう。そうなると、クルマを止めて現在位置の設定をやり直す必要があった。

◆マップマッチング
これを解決したのが「マップマッチング」の技法だった。軌跡のパターンと一致する道路パターンが近くにないかを、ジグソーパズルの駒の置場所を探すように検索し、その候補から一致度を判断して、軌跡をそこの道路位置にシフトするという手法である(図1)。地図がデジタル化されたので、この手法が可能になった。

マップマッチングの例
図1 マップマッチングの例
出典:”DATA Dream Products & Technologies 1948-1998” Honda R&D

◆GPSの利用
しかし、課題はまだ残っていた。走行距離の測定を車輪の回転数に頼っているため、カーフェリーで移動すると航跡が把握できなくなる。上陸後、現在位置の設定をやり直さなければならなかった。しかし、これも1992年にGPS(全世界衛星測位システム)からの電波を受信することで解決した。

◆絶対位置
GPSは、米国の国防総省が開発した、上空約2万キロの六つの軌道を周回する約30個の人工衛星からなるインフラである(図2)。衛星から発信される電波を受信し、その所要時間を計算することで、3個の衛星からの情報では二次元の、4個からでは三次元の現在の絶対位置を知ることができる。

GPS 衛星のイメージ
図2 GPS 衛星のイメージ
出典:http://www.jaxa.jp/countdown/f18/special/faq2_j.html

◆ハイブリッド航法
しかし、衛星の位置やビルやトンネルなど周囲の環境によっては、常時電波を受信できず、当時は意図的に位置情報の精度が落されていたために誤差が大きかった。そこで、それまでの、センサーと車輪回転数による自律航法に加えて、GPSを併用するハイブリッド航法を用いることで、カーナビの基本技術が完成した。
 
今回は、世界初のカーナビのその後の進化を紹介した。
次回は、出現したカーナビをディスプレイにする我が国の路車間通信システムの発展を見ていく。

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