交通安全コラム

交通安全コラム

自動運転(13)―普及へのハードル(6)コストアップ―

前回は、自動運転に対する世論調査結果と、プライバシーに関連する懸念を紹介した。
今回は、自動運転のための追加の負担となるコストの影響とその削減について検討する。

コストアップの受け入れ
これまで紹介してきたように、自動運転車が普及すれば、交通事故の減少と渋滞緩和で、大きなメリットが期待できる。しかし、自動運転技術のクルマへの組み込みによって、クルマの値段はかなり上昇することが予想される。人々は、はたして、そのコストアップを受け入れて、自動運転車を購入するのだろうか、という疑問がある。

フェラーリより高価
グーグル車の自動運転システムのコストは、LIDARシステムが75,000~80,000ドル(図)、カメラとレーダーシステムはおよそ10,000ドル、コンピューターやソフトを除外してもGPSシステムはおよそ200,000ドルと推定されている。これはフェラーリより高価である。2013年の調査では、アメリカ人が新車に払う金額は平均で30,000ドルだが、平均購買力は20,806ドル、と報告されている。コストダウンは自動運転技術の主要な課題である。

図 グーグル車のLIDER (Light Detection And Ranging)  装置
周囲の状況を確認するため常時回転している
出典 http://www.theverge.com/google/2014/5/14/5714602/photos-inside-googles-self-driving-cars

鶏と卵の関係
上記は、あくまでも現時点でのコストであり、これは、2025年には7,000~10,000ドル、2030年には5,000ドル近くまで下がり、ほとんどのクルマが完全自動運転になれば、2035年には3,000ドルに低下する、との予測がある。しかし、この3,000ドルは、世界の自動車販売数の約9%の1千2百万台の自動運転車の普及を前提とした予想なので、多くの人が安くなる前に買うという仮定に基づいている。コストは、鶏と卵の関係にある。

理想主義と大量販売
視力障害者がタコスを食べながら近隣を移動できるようにする、グーグル社の理想主義的な進め方では大量販売の領域の価格にはならない、というのが自動車産業の一致した意見である。自動車メーカーは、グーグルの非常に高額なLIDARシステムを光学方式にし、装置の小型化、センサーフュージョン、制御システムの統合化による単純化の方法を採ろうとしている。

年間収入25,550ドル
ちなみに、2010年の米国の所帯の年間収入は25,550ドルに対して、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドモニター、レーンキーピング、アダプティブステアリング付のインフィニティーQ50 の価格は、ベースの37,000ドルに6,600ドル追加になる。ベンツのアシストパッケージは3,000ドルほどだが、ベース価格は92,000ドルである。

今回は、自動運転車普及に及ぼすコストアップの影響とその削減のジレンマを紹介した。
次回は、自動運転車の普及によって生ずる可能性がある失業の問題とその対応を検討する。

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